正月即ち真冬の日本に戻って改めて「SHAKUHACHI LIVE!!」のフライヤーを見てみると、なんだかバカみたいなテイストだ。35℃くらいのバンコクで、日本茶カフェINOMEに掲げられていたときはイイ感じにハマっていると感じたのだが、ところ変われば、なのか。
とりあえず、初海外ライブは終わったし、そのあと訪ねたラオスの首都・ビエンチャンでも、ホテル近くの散策で飛び込んだお寺のお堂と、家人の知人が働いている小学校と、2個所で吹いた。外つ国で吹くのは、日本で吹くのとは何もかもが少しずつ違う、としか書けない感興を得て、いい勉強になったなァ。
といっても、バンコク初ライブのお客さんはおおかた日本人であったし、ビエンチャンのお堂では、お堂に数人いたお坊さまは一二三鉢返調にほぼノーリアクション(もちろん、吹く前にOKはいただいた)。小学校では、放課後の校庭で遊んでいた子どもたちを先生方がやにわに集めて「さくら」と「コンドルは飛んでいく」を吹くも反応イマイチ、みんなポカーン。くっ、どうせ反応薄なら本曲を吹くべきだったと後悔したが、なぜかその後でキッズにもみくちゃにされて大モテ(竹をつかみたがるヤンチャな子がいて、モテながらヒヤヒヤ)。…と、「海外で吹く」のサンプルにしづらいケースばかりであったようには思うけど。
両国とも最高気温が30℃を下回る日はほぼなかったはずで、つまり竹は真夏モード。ハ五が抑えきれなかったり、甲ロが裏返ったり、ナヤシが立ち上がらなかったりの酷暑あるあるにアジャストするだけして温帯の冬に帰ってきたものだから、今度は冬の律に合わせられず、まずまず苦労した。というか、まだ直りきっていない。
ちなみに、バンコクライブのプログラムは以下の通り、
①雲井獅子
②グノーのアヴェマリア(歌メロのみ独奏)
③みだれ(箏カラオケ)
④残月(前弾・五段・チラシのみ独奏)
⑤春の海(八寸にて箏カラオケ)
⑥鹿の遠音
海外で、竹一管で、私が吹けるジャンルで、と考えてこうなったが、モアベターはあっただろうか。向後もこういう機会があれば番組を練っていきたい。スモールライトがあれば(そしてメンツが揃えば)海外三曲合奏さえたやすいのだが、三絃はまだしも箏はなァ…独力ではなんとも。
AQUOS R8 pro
INOMEの店主・ベンさんに連れ出してもらい、バンコクのワット・スタット本堂にて、海外で初めて(日本でもほとんど経験なしだが)年明けすぐの初詣。ニューイヤーを待つ何分かは、数千人の参詣客がみな境内の、ツルンとした石の地べたに靴を脱いで座り、来し方行く末を黙想する素敵な時間だった。0時になれば、いやかなりのフライングでもって街なか至るところ、寺の周りでも花火がドカンドカンと上がって静謐なムードはたちまち霧消してしまうのだが、本堂の中はこの人出にしてはやはり静かだった。
※今年から、写真キャプションの改行体裁を上のように改める。
今回、預け荷物オプションをケチったために、春の海を吹くというのに六寸管さえ諦めなければならないほど何も持って行けなかった。当然、カメラも重たい一眼など問題外で、持ち出したのはムービー撮影に使うためのVlog向け20mm単焦点コンデジ(ZV-1F)とおニューのスマホ(AQUOS R8 pro)のみ。初めは両方で撮り分けたりもしていたが、ほどなくスマホしか使わなくなった。そして「コンデジは滅びるわけだ」と初めて心底から実感した。
ソコソコ撮れる、いつでもポケットから取り出せる、撮ったものをすぐ共有できるスマホに対して、コンデジが優位に立つ(可能性がある)のは画質だけだが、今やだいぶ高級な、というかセンサーの大きな、しかも明るいレンズのコンデジを使わないと、勝手に見栄えよくイジって見せてくるスマホ写真のパッと見にはまァ敵わない。つまり私は、20mm単焦点+1インチセンサー程度のコンデジでは最新のスマホに勝てないと感じてしまったわけだ(R8 pro もスペック上は1インチセンサーと f1.9 の豆粒レンズを搭載してはいる。スッピンのレンズ勝負では問題にもならないだろうが)。コンデジ好きとしては悲しいが、撮れるスマホを手にしてしまった時点で、そのスマホのライバルは、「肩にかける」不便さのゆえにかえって速写性でスマホを凌駕しうる一眼になるのだと思う。むろん、カメラの重さ大きさを押してエイヤと持ち出した場合に限られるが。
さて、今年はこれまで以上に「いい曲を吹く」年にしよう。いい曲とは何か。「よくない曲は吹かない」と言えばより分かりやすいかもしれない。