楽器としての尺八は、方向はあっちこっちを向いているものの、ともかくも進化を志向してはきた。私にとっての尺八の進化は「いい音だねえ」をより十全に達成できる楽器の実現でしかない(しかもそれは、くどいがあくまで私の認識としては、田中忠輔さんのもとで既にほぼ達成されている)のだが、あるいは速いパッセージを吹くために孔を増やしたり、爆音の楽器を量産するために竹以外の素材を採用したりと、人がさまざまある以上、吹き方と同様に尺八の進化もさまざまだ。個人的には、なんでそんなろくでもない音の尺八を作るかねと思うものも多々あるが、「本来」という言葉に含まれる “道理” のニュアンスでもって「(こ・そ・あ)れこそが尺八本来の音なのに」なんてことは思わない。好きか嫌いか、出来か不出来か、それだけだ。I say high, you say low. ハロー・グッドバイ。