西から、もう何度目かの佳き便り。今年もはるかイタダキを目指してやることはひとつ、オノレの尺八楽の底を上げるだけ。土壇場でゾーンに入ることなどほぼあり得ない。問われるのは上澄みより底の水位だ。
週末にクローズドの会で根曳の松を生まれて初めて吹く。曲の難しさよりなにより、譜が長すぎて、まともに延べれば吹いている間に90°くらい扇を描く仕儀とはなる。対策はするが、こんなことなら学生の頃、松竹梅より先に覚えてしまえばよかった。そろそろ長体譜を検討しなければ。
ツ・ツメのアタリは、指先の球形部分を少し外した第1関節寄りでアタるとスポンと出やすい。あくまで現状、ヘタクソな私の経験則として。
アタリが最も利きづらい五孔。鉄棒の離れ技をやるくらいの思いきりで親指を高く上げて最大限の空隙をつくり、ブンと音がするくらい勢いよく振り下ろして孔を塞ぐほかに道はない。ためには、親指は五孔の下から、つまり管となるべく平行になるよう添えなければならない。管に対して親指が斜め・横方向であると、着地(?)で孔を塞ぎそこなう確率が跳ね上がるからだ。管を支持する必要がない左手(右手の人もいるだろうが)の構えは、ここを始点に固めていくべき。
S5Ⅱ
東京のあるお人に預けていた竹がパックリ割れた。マンション上層階などではなく戸建ての、おそらく1階保管でだ。私も、マンション4階に住んでいた東京時代、買ってひと月も経たない新品が上下管同時に大きく割れて愕然としたことがある(工房の主は無料で直してくれたうえに、別の新品との交換まで提案してくださった)。東京は乾いている。ジメジメ京都に移って以降、竹は常時室内に数十本出しっぱなしだが、割れたことは一度もない。
そういえば、某お安い工房の竹を買って帰った留学生くんから、これまた裂けるようにパカーンと割れてしまったと、たいそう落ち込んだ様子の文面とともに写真が送られてきた。アメリカの乾き具合は東京どころではないのだろうなあと同情しつつ、見事に割れた部分の断面をよく見てみると、まあ地が分厚いこと。重そう…。これなら、もう内径は3Dプリンタで作って、そのパイプを竹に嵌めてスキ間を樹脂で埋め、ラッカー塗っても同じじゃないのと思うだろうし、竹材なんか音には関係ないと思うだろうし、その先にはもちろん、そもそも尺八を竹で作る必要ある?という問いが待っている。あ、だから現今のテイタラクであるわけか。