さすがに肌寒くなってきた。暖房のない部屋で吹き始めると、管が温まってピッチが安定するまでにだいぶかかる。そして、身体や指先が空腹で冷えていたりするといつまでたっても竹が芯から鳴らない。冷房には電気の力を借りるほかないが、暖房にはできるだけエアコンではなくガスを使いたく、しかし我が家の大阪ガス謹製ファンヒーターはやたらとパワーがある(というかパワーを絞った運転が不得手)ので、もっとキンキンに冷えてくるまでは我慢だ。
こういう季節の変わり目、単管で吹いていると律が微妙に狂う。「先月までこの指のこの塩梅で出せた音」が低くなったり高くなったりするので「あれェ?」となるのだけれど、それこそ広づくりの醍醐味のひとつではあろう。年がら年中ビタビタに正確な律が「竹のおかげで」調ってしまうなら、奏者の耳は要らないことになる。今後、人間の仕事の大半は AI に取って代わられるそうだが、この楽器を奏することができるのは自分だけだと妄想にせよ思い込めていれば、ドラえもんや機械伯爵に仕事を取り上げられても心まで折られることはあるまい。ま、私のもう一方の仕事も、AI に取り上げられるまでにはまだだいぶかかるとは思う(思いたい)が。
K-5 そろそろ南へ飛びたくなってきた。が、当分無理。
楫枕、末の契、四季の眺、吾妻獅子、春の曲、某尺八重奏曲、末の契がもう一回あって、鹿の遠音。年末から来年前半にかけての課題曲が(私にしては)ちょっと渋滞気味。春の曲なんて大学出てから吹いたことあったっけ?くらいのご無沙汰で、暗譜はハナから断念。尻を叩かれないと動かない私であれば、こういう状況はありがたい。ほんとうは来年後半の自分に対してもう4曲ばかり課してやりたいのだが、そちらの話は時間に余裕がなくなかなか進められずにいる。年の暮れ始め、一年納めのナントヤラ、早くも気ぜわしくなってきた。