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いずこじ

陰陽、笹の葉、風の色。琴古流尺八、道中甲有り呂有り。

続・末の契について

末の契論、興味深く拝読。

そもそも盲人の作。楽譜は後世昨日のこと。

作譜は、某が「私はこう聞こえた」故に「かく記譜せり。」のメモ。

譜上の事にして、作譜者一個人の判断による、表裏の割付に違いなく、旋律、拍子等々しかない耳だけが頼りの検校に迫るに、既存の楽譜を絶対視して論を展開するのは、一考を要するように思う。

伝承に、楽譜が必然とするならば、面白きスエチならばこそ、100万回の名人(音源)傾聴と自らの演奏体感から、楽譜を校正すべき箇所有りや無しやの気概も可なり。

スエチの演奏を作り上げるに一番大切なものは、楽譜以上に、盲人が演奏する音を感じ、受け止め、ヒラヒラと舞い落ちる木の葉の、巧まざる表裏の展開に似て、作曲者の仕掛け、挑戦を聴き解く事が肝要でしょう。

本曲の同門同曲が作譜者により異同あるは、日本音楽の楽譜が個人のメモ程度の証左であり、和譜が洋楽譜と似て非なる事を忘るべからず。

所信一寸。

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ご感想、ありがとうございます。

スエチ、表拍を意識して吹いてみるも、「半拍切り上げ」で裏に入った箇所は、楽譜上の表に強拍を置いても(当然ながら)曲にはならず、裏を表に吹くしかないという考えに至っております。曲にする、と抽象的に書いたのは、こうなる可能性も高いと執筆時に感じておりましたゆえ。

すなわち、先生のおっしゃる落葉ヒラヒラがまさにドンピシャのイメージでして、拍ではなく旋律単位、一文ではなく段落単位で表裏を構成・表現している、と見るべきかと。よって、ウラオモテあべこべになっている旋律は陰、本来の表主体の旋律を陽とみての表現が、あくまで拍の上のみの話として「曲にする」になろうかと、今は考えております。

楽譜の絶対視は危険、ある程度心得ております。半拍切り上げに近い詰め方は、前にのめっていくタイプの演奏でしばしば聞かれますね。楽譜がなかった頃はもっと極端に行われることもあったでしょう。ですから、萩の露のような微妙なズレの異同であれば、かえって「そりゃそんなこともあろう」と思えます。しかしスエチの場合、異同の附記もほぼなく、また他にこんなに拍が裏返る(間を詰める必要のない手事においても)曲もなく、糸の採譜者や前後の伝承者による誤謬・転訛の可能性より、どうしても検校自身の意図を強く感じざるを得ません。

音源、あれこれ聴いておりますが、面白いのはユーチューブに上がっている三世古童のものでしょうか。入手で遊びまくっていて。もちろん、私の拘泥するような表裏を表現してはおらず、裏返っているところでは、表に聞こえる拍に乗って、それこそヒラヒラと楽しく気持ちよく吹いているように聞こえます。

このあたりを手がかりに、スエチを作っていこうかと。いま、糸の二人に意見感想を求めているところですが、まずは先生のご感想、いずこじにて久々に赤ペン引用させてくださいませ。


LX100 宣伝。1月23日発売の「あまから手帖」2月号では、こちらの『たるや丸十』さんや、兵庫・浜坂のカニ宿『七釜荘』、京都・笠置のキジ宿『松本亭』などの記事を担当。

なにか着想を得たら、揉んで練って後の精髄をものすればいいものを、「あっ分かった!」が嬉しくてつい青熟れのうちに書いてしまうのが私の悪い癖だ。まあ学者でも家元でもなければ、売文の徒にふさわしい拙速とお許しいただきたい。それでも、修正が必要なのは主として「末の契をどう曲にするか」についてのみであり、他の論旨についての考えは師匠からの「おいチョット待て」にもかかわらずほぼ変わっていない。スエチの拍の裏返りは、松浦検校の明確な作為によるものだ。だから難しく、だから面白い。

卓球の全日本選手権終了。男女とも、レベル、選手層の厚み、プレースタイルのバラエティなどさまざまなフェーズにおいて、過去最高、と言って悪ければ、少なくとも平成最高の大会だったのではないか。V10の水谷は、今回限りで全日本を退くとインタビューで述べた。実力を見せつけておきながらの「部分的引退」は残念だが、退き際が難しいことは、すぐ隣のチャンネルでやっている相撲を見ても、お堀の向こうを眺めても知れること。真意は藪の中、余人が口を挟むべき事柄ではない。それにしても、今大会はシングルスのたかだか4回戦からニュースでじゃんじゃん報じられていたし、ジュニアやダブルスなどリオ五輪前にはほぼ無視されてきた種目さえ大々的にメディアにのった。卓球が「運動音痴の駆け込み寺」と見なされた時代を部活で過ごしてきた昭和のオッサンには、うつつよのありさまとも思えぬほどのバブルぶりだ。実は全日本の4日目を大阪市中央体育館まで見物に行ってきたこともあり書きたいことはいくらでもあるのだが、今は控えよう。
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河宮拓郎(カワミヤタクオ)
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