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いずこじ

陰陽、笹の葉、風の色。琴古流尺八、道中甲有り呂有り。

母と鈴と竹

我が家の菩提寺(臨済宗妙心寺派)のお師さんが撞く鈴(りん)。その残響が醸す疑似ビブラートに、竹のユリとの類似を嗅ぎ、例の「虚鐸伝記国字解」の、“普化禅師の鐸、すなわち大きな鈴(すず)の音を弟子が慕って竹を吹いた” という「鈴慕」のあのエピソードが、「なるほど、アリだ」と初めて実感を伴って理解できた(誤解かもしれないし、その逸話の真偽も検証不能であるにせよ)。ま、当時ユリが行われていたのかどうかは措くとして、鈴と竹、音に何らかの共通性はあるぞと。

…という話をかなり長々と書き連ねていたのだが、バグですっ飛んでしまった。すべてを書き直す気力はもうない。


K-5 母が最期まで世話になった病院前からの眺め。この坂が強烈にキツい。

斯道に通じた人にはきっと「何を今さら」であるだろう鈴と竹の間柄。ようやく知れたのは、母の法要でこのひと月余り、七日おきに経を聴き続けた(父の時は夫婦して忙しく、幾度か端折らざるを得なかった)甲斐あってのこと。もちろん、ユリに大いに意を注ぐよう口を酸っぱくして言ってくださる師匠と、その試行錯誤を受け止めてくれる楽器のおかげさまで、近頃ようやくユリが面白くなってきた、そのタイミングが重なっての今日日でもある。四方八方ありがたい。

とまれ、明日はお寺で母の満中陰だ。腹から響かせるバリトンボイスで見事な経を唱える六尺豊かなうっとこのお師さんは、木魚も鈴も声に伍せしめるべく全力で叩く。拙宅のちんまりした道具ではなく本堂の堂々たる木魚と磬子(きんす・大型の鈴)で、大迫力の忌明けとはなろう。
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河宮拓郎(カワミヤタクオ)
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