忍者ブログ

いずこじ

陰陽、笹の葉、風の色。琴古流尺八、道中甲有り呂有り。

暗転直下

某年、とある糸方の先生が「日々の暮らしや環境なんて、あっという間に変わるんです。ほんとうに、あっという間です」と、ご自身の来し方を振り返るようにしみじみと言っておられたのが忘れられない。おっしゃる通りでした先生と、職や住処を変えるたび、竹を吹けることの喜びと儚さを噛みしめてきたものだが、この先しばらく演奏会を開けるかどうか分からないなんてヨノナカが、あっという間、ほんのひと月半で到来するとは思わなかった。

いま、あらゆる集まりごとの主催者やスタッフたちは、息をのんでことの成り行きに神経を尖らせ、事態の好転を祈っていよう。ひとまず主催の会など持てるほどパワーゲージが溜まっていない、とはいえ俎上の主役の一人に数えられる「邦楽を楽しむ会」を数カ月後に控えている私も同様だ。人の間で生きているから人間と謂う、などというのは語源としては明らかな誤謬だが、人間は確かに人の間で生きている。権利と義務の、健康と病気の無段階のあわいで生きている。それが強みであり、弱みでもある。

悲しいが、少なくとも現下の状況に尺八の生音が貢献できることはないだろう。隔離病棟と化したホテルの前の砂浜で一二三を吹いても、波音にかき消されるのがオチだ。でも「はい次、出番です」の声がいつ掛かっても慌てないよう、最大限の努力でもって備える。呑気に竹など吹いている者の、当然のツトメだ。

K-5Ⅱs

中坊の頃に読んだ小松左京「復活の日」をぼんやり思い出す。南極から後の物語がどうしても思い出せないが、ラストはどうなるんだっけか。
PR

コメント

プロフィール

HN:
河宮拓郎(カワミヤタクオ)
性別:
非公開

P R