遅まきながら、第15回有楽伯、つつがなく終了いたしました。季節外れの酷暑に加え、開場直前に強めの揺れに見舞われて足元の定まらぬなか、ご来場いただきました皆々さまには厚く御礼申し上げます。おかげさまで大入り満員…とまではいきませんでしたが、例年に比べれば大いに盛況。その気配が奏者のあとを押してくださったかに思えます。
個人的には、代打の急ごしらえでは歯が立つはずもない大曲と、一生かけて取り組むべき難曲の掛け持ち、もとより小さな手に余る舞台ではありましたが、三曲合奏をどう吹くかという積年の課題において、ある方向から一条の光が差したようで、気づき学ぶところの多い一日ではありました。聴きに来てくださった師匠からもうんとお叱りを頂戴しましたが、ここでは触れず、今後の私の演奏で「ああ、あのとき叱られて直したのはここだな」と気づいていただければそれが最上であろうと。キーワードは「セーノッ」であります。
余剰金のすべてを今回で吐き出してしまった我々は、次回からまた手頃なホールに戻っていくと思われますが、“紀尾井効果” で若干のステップアップを果たした(だろう)有楽伯、その吉例決算たる演奏会に引き続きお運びいただけますよう、伏してお願い申し上げます。
K-5Ⅱs
それにしても、風邪を引いて直前まで竹にさわれなかったのは常日頃の心がけ至らぬがゆえでありましたが、その間にわかにあれほど暑くなり、竹の響きが一気にカラカラの真夏モードに入ってしまうとまでは予想できませんでした。会の前日にようやく竹を構え、一曲吹き通しても中に露が全く溜まらないのを認めたときの寒気は、38度5分の熱でくたばっていたときの悪寒にも負けず劣らず。お天道さまにはかないません。