忍者ブログ

いずこじ

陰陽、笹の葉、風の色。琴古流尺八、道中甲有り呂有り。

ツルツル

ありたらゆる世話を焼いていただいたMさんになんの恩返しもできぬままチェンナイを発ち、史上最悪の大気汚染が一息ついたらしいバンコクに移動して3日。あれっ、こんなにツルンと行儀のいい街だっけ? なんの不安もなく過ごせるけれど、外国らしくなくて物足りない。超巨大ショッピングモール、冷蔵庫並みのクーラー、ビールがないとやってられない鬼辛料理、渋滞、メータータクシー、延びまくる鉄道、ニョキニョキ生えてくる高層ビルとコンドミニアム、ちょろちょろシャワー、下して戻して。欲望、煩悩に恐ろしくストレートで、それを煽るための英語もインドよりは数段聴きとりやすい(話せる人の割合は少なくなるが)。どうやら私は、もうだいぶタイに慣れてしまっているらしい。

それほどに、初めてのインド、初めての南インド、初めてのチェンナイは刺激的だった。人も店もクルマも道もデコボコで、それぞれのデコボコに固有の事情や理由や歴史が滲む。かの街がインドのなかでも比較的コンサバティブな土地柄であることも、この国のありように思いをいたす助けになったように思う。なにせここでは、見たところ街の女性の8~9割がサリーを着ている。Mさんによればビジネスの場においてもサリー姿はごくフツーであるとか。古くていいことも、悪いこともある。古いものには概ね意味があるけれど、しばしば現実の用に適わない。新しいものは多くの場合便利だが、それが大切であるかどうかは長い時間が決める。


LX100(以下同) チェンナイのビーチにて。この犬たちは、浜辺の屋台で客が残した料理を食べて露命を繋いでいる。ただ、やはり辛いものは生理に反しているのだろう、あまりおいしくなさそうに二口三口食べて、もういいといった風に去っていく。女性たちは海でもサリーである。

などと半可なインド熱の余韻に浮かされつつも、バンコクでの日々は相変わらず。サイアム・センターで気の利いたデザインの服や小物を見つけては小銭をむしられるルーティンを楽しんでいる。昨日は数年ぶりに『ブルー・エレファント』で昼食。やはりとても旨い。フュージョンの技にも唸らされる。が、やはり初めて食べたときに比べればインパクトは少し色褪せたか。タイでフォアグラ、食べる必然を感じない。

レートがいいことで有名な両替所兼リカーショップ『タニヤ・スピリット』前。こうなるともう…。みんながみんな「タイ大好き!」でここへ来るわけではない。大枚はたいてでも日本の味と言葉に触れたい人がいるのだ。そういえば、チェンナイの日本食材店(と謳いつつ7割方は韓国食材)ではひとつ300ルピーの日本製こんにゃくが売られていたが、これはリッチなベジタリアンが求めるらしい。重いから輸送コストがかかるんだ、とナニ人だかよく分からない店主が言っていた。

ときに、いま逗留しているエカマイ某所の部屋では諸事情から竹を吹くことができない。かといって、石を投げればジャパニーズ・ビジネスマンかその家族に当たるこの街で、公園やらへ出かけていって竹を吹けば、好奇の目とは別種の視線にさらされそうな。あと数日、我慢するか…。

ついでに、タイで取り締まりが厳しくなっているアイコスも我慢だ。とっつかまったら高額の罰金を科されるばかりか強制送還もあり得るというので、日本であらかじめ2000円ほどのバッタモンホルダーを買い、チェンナイで吸うだけ吸って空港で捨ててきたのだ(ああもったいない)。そして、久々のタバコのヤニでそろそろ喉が腫れぼったくなってきた。ま、このツルンとした街なかでは吸いにくいのでそう本数は増えないが。
PR

コメント

プロフィール

HN:
河宮拓郎(カワミヤタクオ)
性別:
非公開

P R