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いずこじ

陰陽、笹の葉、風の色。琴古流尺八、道中甲有り呂有り。

埒のうちそと

雪辱、というのではないが、前日のヤラカシを踏まえ、ごく丁寧に、なるたけ綺麗にと心がけて、日曜の虫の武蔵野は吹いてみた。そも銭湯で歌うが如き堀川音楽高校のホールであれば、おとなしいかな、と思うくらいに吹いてちょうどいいのだと思う。それにしても、あの過剰な響きではうら若き学生さんたちがいろいろと勘違いしてしまうのではないのかなァ。

曲は宮城らしい程よい俗っぽさ。東西・新旧の都を対比し、風雅な宮廷の虫遊びと、野山に鳴く虫を愛でる “平民の” 秋の楽しみを対比する。その地理・時代・身分の隔たりを貫き虫は変わらず鳴いておる、と。詞に籠められた企みもほどほどにブンガク的で可愛らしい。

ピカソは「芸術は悲しみと苦しみから生まれる」と言ったそうな。邦楽もまた、陰旋法という悲しみを手に入れて飛躍した。そこにとどまるのがいいとは限らないが、ピカソはまた「何か新しいものを作るとき、それを作るのは実に複雑だから、作品はどうしても醜くなってしまう」とも言う。これは謙遜なのかもしれないけれど。

さて、専門外の修練も楽しかったが、これより少なくとも年末までは晴れて古典に戻れる。全暗譜は無理だろうけど、できるだけ近づけよう。


LX100
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プロフィール

HN:
河宮拓郎(カワミヤタクオ)
性別:
非公開

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