40℃近い熱波に線状降水帯にトルネード。もう「今年は変な天気ですねえ」なんて時候のあいさつが利かない、恐るべきニューノーマルのヨノナカとはなりにけり。そんななか、京都三曲協会・京都芸術センターのコラボ夏休みイベント「箏・三絃・尺八まるごと体験会」に講師役として参加してきた。
小学校の課外授業とは違って、このイベントは事前に申し込んで、参加費を払って「わざわざ」来てくれたキッズたちに邦楽を聴かせ、教えるというもの。そもそも能動の度合いが高いという背景はあるにせよ、イヤみんな熱心に稽古してくれるものだなあと感心。だが、その参加者側の熱意あればこそ、プログラムや、さわってもらう楽器について「これは要改善か」と思えるところがいくつかあった。
なかんずく、教材の木管。数を揃えてあるだけで大したものだとは思うのだけど、まず小学校低学年の子どもたちの小さなアゴまわりに全くフィットしていないこと、次いで、ポンコ…もといハズレ楽器が紛れすぎていることで、見たところ正しく吹けているのに音が出ない、という子が複数いたのはかわいそうだった。ご時世柄、楽器はすべて滅菌処理済みの個包装で「鳴らない? じゃあこっちの楽器で試してみようか」ができないから、ハズレをつかんでしまったらアウトだ。実際、鳴らなかった子の楽器をあとで(もちろんキッチリ消毒のうえ)吹いてみると、勘所が極端に狭い、だけならまだしも、私がいくら頑張っても全く音が出ない楽器さえあった。
アゴにフィットしない問題も含め、こういうキッズイベントでの講習には、全体に径の小さな(そして昭和設計でいい加減な内径の木管よりはだいぶ音が出しやすいはずの)水道管尺八のほうが目的に適っていると思う。なんなら、パイプ歌口の下に20~30cmの筒をくっつけただけのもの(安かろう)をたくさん用意して、まず音出しの練習をさせ、音が出たら正調の水道管尺八なり竹の尺八なりへ進ませればいい。
私も部室のろくでもない備品尺八で道に分け入ったわけで、思い出すにつけほんとうにヒドい楽器ではあったが、全く音が出ないわけではなかった。アレがもし、どうがんばっても、の真性ポンコツであったなら、悪くすれば楽器をやめていた可能性もある。ましてこういうイベントでは、袖すり合うたまさかの一時で、しかも箏・三味線と違ってイッパツではまず音が出ない竹を好きになってもらおうというのだから、よけいに「音が出た!」までの道のりはきれいに均しておく必要がある。私見。
LX100 以前に上げたガスケット屋の近くのキャブ屋の店頭。
見物していただけの私が口を出すのは余計なお世話だが、模範演奏のプログラムは…古典4曲(箏・三絃・竹の各楽器単独曲と三曲合奏)・宮城曲1曲・J-POP1曲で約1時間と、能動キッズが相手とはいえちょっと本格的すぎたかもしれない。後半明らかに客席がダレていた。1曲キホン3分、2曲に1曲は誰でも知ってる曲(トトロはマスト)で3~MAX5曲、くらいの構成にしないとしんどかろうなあ。これも初手で「退屈だナー」と思われてはそのままサヨウナラの確率が跳ね上がるわけで。なにごとも初めはとりわけ肝腎。
などと。やはり普段と違う邦楽の場に身を置くと、いろいろと刺激や発見が得られてヨイ。次回も呼んでもらえるといいが、同じ季節にやるなら、模範演奏に参加しないヒラ講師役は洋服OKにしてもらえると有り難いなァ…。