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いずこじ

陰陽、笹の葉、風の色。琴古流尺八、道中甲有り呂有り。

メタファー豪速球

何かを書こうと思うが、ろくに書くことがない。日々を生きていれば当たり前のように供給されていた有形無形のソフトが片っ端から枯れていく。オノレの声と思っていたものの大半は、それら与えられるものへの反応、打ってこないと放てないヘボカウンターであり、独力で内側から生み出せるものなど知れた高であったのだなと。


GX7III

そんな状況にあっても私に推進力をくれるのは、師匠の叱咤激励である。昨年から師匠の提案で始まった、本曲の録音データをお送りしての通信添削は、Skypeによる教育やレッスンが否応なく広まりつつある今となってみれば時代を先取りしていたか。

No.1 metaphor、の巻

指針故取捨随意。


師匠は私の拙い曲を毎度コテンパンに(真虚霊冒頭、ツ、レ、ロの3音で写真の体たらく!)のしたうえで、そのダメ出しの数々は「メタファー」であるとおっしゃる。それらは師匠が聴衆の一人として得た「なお斯くあれかし」の感慨であるが、私が金科玉条と奉っては音楽が死ぬ。「の、ようなもの」だと捉えよ。の、含意ならんと独り合点している。

つまり師匠は「まずここまでおいで。その先は自分で考えな」と誘ってくれているのだ。しかし、いつまでもお誘いををいただくばかりで十年一日、先へ踏み出すどころかメタファーのひとつもクリアできない不肖の弟子。不孝とはこれだろう。それでも、この片道豪速球のキャッチボールさえなくなってしまっては、人前で吹けぬ今や、私のか細い竹の音ごときあっという間に水気の飛んで干涸らびる。

音響劣悪の仏間において、私は遙か550km先へ向けて吹いている。こんな場所で録音すれば、それはもう凄まじい、誰にも聴かせたくない音源が出来上がるのだが、それを師匠に送らねばならない恥やストレスも稽古のうちだろう。さても恋しき九十九里、響き朗々の古筆庵にてメタファーの雨あられをいただける機会はこの次、いつになるだろうか。
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プロフィール

HN:
河宮拓郎(カワミヤタクオ)
性別:
非公開

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