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いずこじ

陰陽、笹の葉、風の色。琴古流尺八、道中甲有り呂有り。

ことども

「力があるからこそ――普遍的なピッチングをしろ」(伊図透「オール・ザ・マーブルズ!」)

「僕の絵は、視野の狭い世界だと思うんです。僕の手法で可能な範囲の仕事をしているだけです。歌える範囲の歌、出せる範囲の声で、譜面を選んで歌っていると思えば良いんじゃないかしら」(画家・浮田克躬の言葉。句読点は河宮)

近頃(グッではなく)クッときた言の葉。画家の名言が載っているような高尚な本を読んでいるのかと思われるならありがたいが、ネタ元はテレビの「なんでも鑑定団」だ。画面越しだが、いい絵だった。


LX100

気がつけばもう9月も半ば。年を振り返るには早いが、明くる年のために仕込みを始めるならもう出遅れ、というあたりか。そう、秋であるから、演奏会も立て込む。どの会を聴きにいこうか。その前に、10月には2日連続で本番がある。ともに古典ではない。譜面を選べなかったわけだが、歌える範囲の歌ではないので(テヘペロ)とメロメロをやるわけにもいかない。専門外なりに普遍的なピッチングを目指すくらいはしなければ。困った困った。

期日を過ぎても発表されず、このままフェードアウトかと思っていた「世界尺八動画コンクール」の各入賞者の得点が、あるときトップページを見たら掲示されていた。審査員の陣容がかなり共通している昨年の「国際尺八コンクール」を踏襲して、全審査員の演奏者ごとの採点が発表されるのではと楽しみにしていたのに、合計得点のみの発表。これには大いにガックリ。これだけ多くの先生方の “手の内” を見られる機会など滅多にないことなのに。

ひとり/ひと組の受賞(賞金受領ということ?)は一部門に限られる、という悲しいルールから、私は阿部幸夫先生に助演いただいた黒髪で、アンサンブル部門での2位受賞というのが記録となったわけだが、実際、鹿の遠音での本曲ソロ部門2位よりも「黒髪で2位をとった」ほうが意味は大きかったと認識している。

もちろん、本曲でも三曲でも「普遍的なピッチング」を志向するわけだが、ピッチャーがふたりになれば、ふたりが同時に投げてふたりとも外角低めにズバン!と決めるのは、ピッチャーひとりの場合よりはるかに難しい。そして、速度の問題。手数勝負の対極と言える地歌、なかでも端歌ものは、手事ものよりよほど「風の色」の勝負だ。阿部先生の歌とグルーヴにのせていただかなければ「ただ合わせただけの黒髪」となった可能性が高いし、そういう有害無益の三曲から “宇宙的に” 距離を置きたいと願い、しかしそれを表だって言葉にはせず、いまやメディアにだってそうそうは出ない先生の「居住まいを正して古人の列に連なる」さまを伝える、そのためのダシくらいになれたことは、大いに喜ばしい。

本曲は三曲以上に、どこまでいっても生演奏で聴いていただいてナンボ。このコンクールの次回が何年先だか、どこでやるのかも知らないが、きっとリアルイベントにはなるだろう。そのとき私が健康であるならば、まあ出よう(予選を突破できるかどうかはともかく)。笛吹童爺さんはもう動画での1位をとってしまったから参戦してくださる可能性は低そうだが、リアルで仕切り直したらば、きっとそれなりに面白い。というか、私が笛吹童爺さんの生音をぜひとも聴いてみたい。

そういや、賞金ってどんな手続きでいただけるんだろう? 気が早いけど、おせちと餅と酒くらいには化けてくれるはずだ。

久しぶりにグダグダ書いたなァ。
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プロフィール

HN:
河宮拓郎(カワミヤタクオ)
性別:
非公開

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